最近、スシポリスという言葉を聞きます。

自分的には、カリフォルニアロールも和食でいいじゃんという考え方です。実際、アボカドは日本人の口にあっていると思いますし、スーパーなんかでも普通に売られています。定番になっておかしくない味だと思いますし、普通の寿司屋でも扱う所もあります。


例えば、100年前のフランスでは蒸し器を使って蒸すという技法が存在しませんでした。ですが、現在は蒸すという技法があります。醤油っや豆腐を使う人が使います。色々な技術や材料を使いフランス料理の形にして、日々それを昇華・伝統としています。
100年前、200年前、300年前と料理の形自体・環境自体・伝統自体変化しています。伝統的な和食といっても根底では近代の技術に支えられている場合も多いです。調理場の環境が代表的だと思いますが、非常にわかりやすい所では食中毒への対策すなわち衛生学の知識が違います。冷蔵庫があり、ストーブがあり、空調設備がありと大抵の職場では変わっています。それにあわせ技術自体も変化しています。その為、何かの技術や何かの素材を持って料理の所在国を分類するのは非常に困難です。
ちなみに私が思うここ100年の変化で一番大きいのは冷蔵・冷凍技術だと思っています。日本では野菜や魚介類の生食が増えました。ストーブに冷蔵庫に空調設備に輸送環境、作るほうからすれば伝統も糞もあったもんじゃないです。ガス設備(かまどの店はそこそこあります)や冷蔵設備(これは知らないです。氷冷蔵庫は知っています)を持たずにやっている店があればそれはそれで尊敬しまけどね。
そんなわけで、何かの技術や何かの素材を持って料理の所在国を分類するのは非常に困難だと思っています。


では、自分的には何が肝心だと思うかといえば、
フランス料理なら心の底からフランス料理を調理しているということでないかな、と。


あっさりと書きましたが、この心構えは非常に難しいんです。他国の料理を作っている人が必ずといって考えるネタだと思います。


日本でフランス料理を作る人は料理関係のフランス語は大抵分かります。当然といえば当然ですが、フランス語を読めればフランス語で書かれた料理関連の書籍が読めます。フランス料理で扱われる料理の技法やニュアンスはフランス語で話し合うのが一番フランス料理に近いので料理関係のフランス語も話せます。私は料理関連しか無理ですけどね。英和料理用語辞典(調理師用・微妙なニュアンスや素材や地名までのっている高いもの)ってあるのかなあと思ったり。ちなみに仏和料理用語辞典の調理師用は12000円、和仏は8000円orz。凄い便利ですけど、料理自体は載っていないので読んでてつまらないんですorz。1冊借りパクされたし……今でもゆるせん。
それこそ、フランス料理などの欧米料理の流れを汲み日本独自の道を歩む洋食屋、欧米風創作料理と言い換えてもいいかもしれません。このような店でもフランス語を用いている時があります。他国を知る為に他国語を知るというのはたぶんどんな分野でも基本だと思います。
創作料理だろうがなんだろうが根っこを他国の料理に置いているのなら学んで損はないと思います。


他にも他国の料理を再現するには色々な苦労があります。日本の水の多くは軟水だから、欧州の環境に合わせて料理に硬水を使ってみます。料理に味の違いがでますので、金がある店では硬水を使っている店もあります。味の変化ではなく、素材の状態が変化しますので結構変わります。例えば、軟水は素材の味や匂いが流れやすく、硬水は味をとじ込めてくれます。逆にいえば軟水は出汁が取りやすい水です。


こうやって少しでも他国の料理に近づける努力をしている料理こそ、他国でも他国の料理の看板をだせる店ではないかなと思っています。
こういう考えに至るのは、他国料理を扱う調理師的な考え方+発展しない技術を支持することはできないという思いだと思います。
というか、そういうことにしておかないと立場ないですし。


「海外の日本料理の店なら料理に使う日本語の読み書き会話はできて欲しい」という願いのこもったお話でした。実際、どうなんでしょうかね?
店で判断するより作る人で判断して欲しいというお話でもあります。


ところで、なんで寿司なんでしょう。他の和食ではなく寿司が大きく受けいれられる理由が今一つ分からないのです。
最近の寿司の原点となっている江戸前寿司の全国への普及は関東大震災後といわれていますので約100年です。
全国普及から100年程度の握り寿司が和食の代表と言えるのかは少し疑問です。
そんなわけで江戸前寿司自体歴史が若い故に変化の非常に大きい食べ物だったりします。
(ちなみに明治期のお寿司で一番高いネタは卵焼きでした。逆にマグロは低価格。時代の変化とは恐ろしい物です)