「昔は良かった」を使ってみる

課題:「昔は良かった」というが、何が良かったのか・何が悪かったか考えてみる。
着眼:ネット上では「昔は良かった」という言葉を否定する話を良く聞くので。
結論:良い所もあった。悪い所もあった。でも、悪い所の方が多かったと思うのです。
疑問:なぜ、俗にいう左系団体の名前は「横文字・ローマ字・英語・ネットワーク」等の言葉が好きなのか?
感想:

三十路になり、良くも悪くも老いを感じるようになりました。
昔は良かったと言うのは簡単だけど、昔は良くなかったことも一杯あります
でも、良かったことも一杯あるはずなんです。


過程↓
「昔は良かった」。せっかくなので、使ってみようと思います。


1.昔はオタク力が壮絶で良かった。(自分の精神的な衰え)

昔はゲーム・漫画・本・アニメを積むなんてことは無かった。しっかりと消費していた。
今は積みつづける毎日。そのくせ、定番の物だけを繰り返し消費する日々。
ハルヒもヒグラシも手を出していません。SF大会コミケ等のイベントも行かなくなりました。


2.昔はちんこがカチコチで良かった。尿の切れも良かった。(自分の肉体的な衰え)

25歳が境目です。そこからどんどん調子悪くなっていきます。
正直、23.4で童貞の人は風俗でもいいので、カチコチ時に1回は体験しておいた方が絶対に良いと思います。
→参考:日刊スレッドガイド:「老いを感じる」のはどんな時?


3.昔はおでんが安くて良かった。(他の物質的な変化)

1本10円おでんです。300円あればお腹一杯です。焼きそばも半分で30円です。フライも30円。
たった、20年前の話なんです。静岡駅南地域の人間なら大抵お世話になっている店でした。
静岡の昔の子供は駄菓子とおでんで構成されています。古き良き時代の飯屋です。
静岡ラーメンメイン食放浪記さん:忘れられない店太田商店(10円屋?)


4.昔はSFの話をしても分かってくれる人が多くて良かった。(他の精神的な変化)

読書率落ちているんですよね。SF大会の参加者は増えたのかなあ。
自分の時代でもSFの話がわかる人はなかなかいなかったですが。
参考:wikipediaより活字離れ


基本的に「昔は良かった」は4パターンあると思っています。(これ以外の事象は存在しないから当たり前です)
1.自分の精神的な衰えに対する物 2.自分の肉体的な衰えに対する物 3.他の物質的な変化に対する物 4.他の精神的な変化に対する物
たしかに、考えてみれば「昔は良かった」です。


ただ、一方的に良かったかというと、歴史の痕跡がそれにストップをかけます。


一番分かりやすいのが人権です。
障害者や人種等の異端者の人権は無い。生まれる時代と場所を間違えたらと思うと恐怖を感じます。
人種差別で有名なのは白豪主義(30年前)・アパルトヘイト(10年前)です。
障害差別なら昔の日本や現代の中国で近年有名なのは優生保護法です。

SOSHIRENさん:■(日本の)優生保護法の2つの目的

障害をもつ子どもの出生は家族と社会の負担であり本人の不幸だから、障害をもつ子どもを産む可能性のある人の生殖機能を奪ってもかまわないといった障害者への偏見に満ちた考えを、国が表明したということです。また、“子どもを産んでよい人”と“子どもを産んではいけない人”を、国が選別するということでもあります。

中国:権利と予防――世界から・6

「優生保護と保健保護」と題する法律が提案され、国際的に大きな反響を呼んだ。遺伝的精神病、性病、肝炎などを持つ者の結婚禁止、「異常な」胎児の中絶勧告、強制的な断種・不妊手術を盛り込んだ法案は国際的な批判を引き起こした。当時、特にスウェーデン政府は強硬に抗議を行っている。 この批判に対して、中国政府並びに中国障害者連合会は、83年に国連総会で採択された「障害者に関する世界行動計画」の中で、予防がリハビリテーション、機会均等化と並んで大きな柱となっていることを指摘し、我々は国際社会の合意に基づいて、国内的に施策を進めているに過ぎないと強硬に主張したのである。 結局、法案の名称が「母子保健法」と当たりさわりのないように変更されたが、「重大な遺伝性の疾病」がある場合の結婚、出産を深刻に制限する内容で95年に施行されている。

これに関しては正負両面から思うことがあるのですが、とりあえず置いておきます。


また、人口の半分を占める女性ですら異端の存在でした。
例をあげれば出産です。出産は女性の代表的な特徴のひとつだと思います。
産むこと自体は男性には無理です。それ故に昔の出産は土間(悪く言えば地べたです)で行っていた場合もあるのです。
babycomさん:明治生まれのおばあちゃんのお産

「自宅の畳の上」にこだわってしまうのは、大正時代くらいまで、地方では、女たちは畳の上でさえ産めないことが多かったからだ。はるか昔の日本では、「産小屋」というものがあって、自宅から離れた村のはずれに建てられたその小屋で出産していた。日本書記にも、海岸の「産小屋」で神が生まれたという記述があるほど、「産小 屋」の歴史はとても古い。
そんな「産小屋」も、大正時代くらいから減りだして、お産は自宅へ移っていく。でも、自宅に移ってからも、「出産は不浄」という概念はなかなか拭い去ることはできなかったらしく、お産はまず、庭の小屋や土間で行われていた。しばらくして、やっと床の上に上げてもらえるようになってからも、納戸や奥まった座敷で出産が行われることが多かった。

家の畳で子供を産めること自体、*1近年から見た50年程度の昔でしかありません。
自宅出産を昔と称する人がいますが、むしろ産小屋を連想させる病院出産の方がはるかに昔に近いと思います。


男の人も例外ではありません。左利きの人は異端です。
ようこそ。さん:左利きは身体障害か

近代化が成る前の昔、左利きは本当に身体の障害だと考えられていた。つまり左利きは「不運なこと」であり、「不自由なこと」であった。そればかりか、「不吉なこと」とすら考えられることさえあった。だから、左利きは「矯正」をさせられた。そのような時代にあっては、「左利きは身体障害だ」というのが、左利きに対する一般的で公正な見方であり、世の中の多くの人は、上記の質問に対しては2を回答したと考えられる。


女性含む全人口の6割以上の異端者から見れば「昔は良くなかった」になるはずです。


個人の考え方で良い・悪いの比率は変わります。自分を中心に見ると「昔は良かった」かもしれないけど、他人から見ると良くない事実もあります。
私は昔のように動くこと自体を制限されるよりは、今の方がまだ良いと思います。


:備考
>>これに関しては正負両面から思うことがあるのですが、とりあえず置いておきます。
産まれてから身体障害で16年入院しちゃった人や精神障害で10年入院しちゃった人を見ると、安易に生が良い・死は駄目と言えないです。
自分と付き合えるぐらいだから、両人ともある意味精神的にタフなのですが、そうでない人もまた多いと思うのです。
自殺理由の上位ランクに身体上の理由があるのもその為です。

*1:正直、50年でも多く見積もりすぎな気がします